マンション投資を心のどこかで始めたいという人に向けて、マンション投資を始める意義、目的、融資先の銀行の選び方、リスクなどをまとめてみました。
2000年代の初頭まで、マンション投資は一部の富裕層や代々の地主といった限られた層にしかできないものであると思われがちでした。
しかし、マンション投資が株式や債券への投資と同様に投資として広く普及している現在においては、世間一般の平均的な年収(540万円)を2〜3割程度上回る人であれば、一般的なサラリーマンや公務員でも十分に始められるチャンスがあるのです。
ご自身の年収や資産状況に鑑みて、アッパーミドル層に含まれると考えられる方は、ぜひ本記事を最後までお読みいただき、貯蓄と資産を大幅に増やすきっかけにしてみてください。
収益物件の購入は貯蓄・資産の拡大に直結する
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(令和元年)によれば、有価証券(債券・株式・投資信託)を保有していると回答した世帯は、二人以上世帯で19.6%(保有額は301万円)、単身世帯でも34.0%(360万円)にとどまります。
一方で預貯金の保有率および保有額は、二人以上世帯で42.7%(保有額は657万円)、単身世帯では44.2%(468万円)にのぼります。
日本人がいかに金融投資にお金を回さずに預貯金のまま資産を眠らせているかが読み取れます。
かつてのバブル時代と異なり銀行の預金利率が低く、1,000万円を銀行に預けても年間に1万円しか利息が受け取れない現代においては、現金を銀行口座に置いておくのは資産形成をするうえで非常に効率が悪いといえるでしょう。
国税庁「令和元年分民間給与実態統計調査結果について」を見ると、給与取得者の年間平均給与は、令和元年分で男性の場合でも540万円にとどまっています。
普通に生活をしていくには事足りる金額ですが、資産を形成して生活レベルを上げ、時間的にも経済的にも豊かな人生を送るには不十分といえるでしょう。このレベルの資産額や給与所得にとどまる限り、ぎりぎりの生活を強いられる人生はいつまでも変わりがないといえそうです。
この点、収益不動産の購入によるマンション投資は、給与所得から自分の預貯金を確保するという一般的な行動からの脱却を可能にします。資産を購入し、資産からの収入を得るということは、給与所得のみに依存しながら余ったお金を金利の低い銀行預金として置いておくという一般的な行動とは資産形成のスピードも金額も次元が大きく異なります。
あえて少数派の行動を取ることで、資産形成がなかなか進まないというループから脱出するという大きな意義がマンション投資にはあるのです。
アッパーミドルであればマンション投資を自己資金0円でもスタートできる
上述したような一般的なレベルの年収、資産額にとどまっているうちは、マンション投資に手が届く状況にまだ至っていないと考えられます。
マンション投資は投資金額が大きいことから、金融機関の融資を受けて行う場合がほとんどであるため、融資を受けられるか否かがマンション投資を可能にするうえでの重要なキーポイントであるからです。
年収が700万円を超えたあたりから、一般の個人投資家に対してアパートローンを融資してくれる金融機関が、地方銀行やノンバンク系を中心に出てきます。
年収が700万円未満であっても、担保となり得る資産の有無や現金の多寡によってはマンション投資を行うに十分な融資を受けられる可能性はあります。
金融機関によって融資審査の際に重要視する点が大きく異なる場合もあるうえ、各金融機関の融資の審査基準や融資条件は時代の変化に応じて変わっていくものです。各金融機関の融資審査について事前によく確認をしておきましょう。
アパートローンの詳細は関連ページに譲りますが、融資を受けてマンション投資をスタートすれば、初期費用を全くかけずに不動産投資がスタートできる場合もあります。
たとえば、5,000万円分のマンションに投資する際に5,000万円満額の融資が下りれば、マンションの価格分の全額を融資で賄えることになります(これを「フルローン」といいます)。
加えて、毎月のローン返済を賃料収入の中から賄うことができれば、毎月余剰金を手にできることもあります(賃料収入とローン返済額およびその他諸経費との差額を「キャッシュフロー」といいます)。
資産や年収の金額がアッパーミドル層に達したときが、マンション投資をスタートできるときと考えておきたいところです。
都市銀行、地方銀行、ノンバンク系など金融機関によって得意とするローン商品は違う
収益物件の購入のために一般の個人投資家に対して融資をしてくれる金融機関は、大きく都市銀行・地方銀行・ノンバンク系の3種類に分類できます。
それぞれ融資対象者・金利・融資希望者に求める資産額および年収額・既存ローンの残高への評価といった基準は千差万別です。
加えて、購入する物件の構造(木造や鉄骨造など)や立地(当該金融機関の管轄エリア内の物件か否かなど)、築年数(法定耐用年数を超えていないかなど)といった点も融資判断の要素の一つとする金融機関もあります。
自分の年収や資産の保有状況のみならず、どの物件の購入のために当該金融機関を利用しようとしているのかという各要素を複合的に勘案して金融機関を選定する必要があるということです。
金融機関によって融資基準や融資条件が異なるということは、ある金融機関で融資承認が下りなかったとしても、別の金融機関では下りるというケースが往々にしてあり得ます。
現在は銀行や信用金庫のみならず、ノンバンク系の金融機関が広く不動産賃貸業に対して融資をしているため、何度か融資を断られてしまったとしても粘り強く他の金融機関にアプローチを続けることが重要です。
一方で、年収や資産状況といった基準に照らして明らかに融資を受けられる状況にない中で徒らに金融機関にアプローチを続けても、融資を受けられる可能性は限りなく低いといえます。
加えて、ある金融機関で一度融資不承認の履歴を残してしまうと、後々同じ金融機関に再度アプローチをする際に審査上の心象を悪くしてしまうリスクもあります。
現状で自分が融資対象者としてどの程度の評価を受けるのかを見極め、そのうえで融資打診をする金融機関を選定する必要があります。
詳細は関連ページにまとめましたが、金融機関との交渉などを視野に入れて、融資相談の前に収益物件の購入計画や返済計画などについて専門家を交えて整理しておくべきでしょう。
マンション投資のリスクは心理的な面が実は多い
マンション投資にも他の投資と同様にリスクが伴います。
しかし、マンション投資は扱う金額が大きくなるため、一般的な個人投資家はネガティブな情報に敏感になり、必要以上にリスクを大きく考えてしまう傾向があります。
特に初めて投資をする投資家は、どのリスクが顕在化するとどのような事態になるのか、顕在化したリスクをどのように収束させればいいのかといったリスク対処に対する具体的な道筋や方法が分からない場合が多いため、マンション投資に対して必要以上にネガティブになりがちです。
例えば、「空室リスクがある」、「賃料が下落したらどうしよう」、「物件の価格下落が起きたら……」といったマンション投資特有のリスクに対する不安感はもちろんですが、「他人の失敗談を聞いて、怖くなった」、「配偶者から猛反発を受けそう」、「友人から反対された」といったネガティブなイメージに振り回されて、結局マンション投資を見送る個人投資家は後を絶ちません。
しかし、空室リスクは、サブリース制度の上手な活用や部屋内のリノベーション、家具家電の設置といった細かな方法によって大幅に軽減が期待できます。
賃料の下落リスクは、今後も人口が安定的に推移し、賃貸需要が旺盛であると予想される首都圏、特に首都圏南部の物件を購入するなど、統計に基づいたマネジメントで大幅に回避可能性を高められることが見込めます。
物件の価格下落リスクは、あえて最初から法定耐用年数が過ぎた築古の物件、すなわち、価格の下落が底を打ったと思われる物件を購入するといった逆張りの発想によってある程度回避できます。
主観的な意思決定を回避すればマンション投資で成功しやすい
一般の個人投資家にとって、マンション投資は専門性が高く、成功はなかなか難しいという印象があるかもしれません。
しかし、マンション投資の失敗は主観的な意思決定が原因となっているケースが多いのが実情です。
投資をするうえでは主観的なイメージや評判ではなく、客観的な統計やデータを基に意思決定をする必要があります。
投資および経営として、収益を最も効率的に上げられるのはどのエリアの、どの物件に、どのように投資して経営していくかという視点を忘れてはいけません。
例えば、東京の代官山の物件と埼玉県川越市の物件で比較した場合、何となくのイメージやネームバリューで代官山を選んでしまうといった傾向はありませんか。
オシャレな新築RCマンションのワンルームとマイナーエリアにある木造一棟アパートとを比較した場合、見た目のきれいさや新しさで新築RCマンションのワンルームを選んでしまうといったことはないでしょうか。
自分が住むための物件を購入するのであれば主観に基づいた意思決定でも問題はありませんが、投資として物件を購入するのであれば主観は一切排除すべきといっても過言ではありません。
主観的な要素を基に判断することで、客観的な分析やシミュレーションが欠落してしまうことになるため、投資としても経営としても失敗するリスクが高まる要因となります。
マンション投資はイメージや自己満足ではなく、客観的な視点によって行うことで成功率が大きく高められると考えておきましょう。
まとめ
マンション投資は金融機関からの融資を活用することで初期費用を少なく抑えて始められることができ、レバレッジを利かせて資産の増加に加速をかけることのできる合理的な投資といえます。
一方で、レバレッジが利いているということは手元の自己資本以上のお金を動かすことになるため、自己資本以上の損失や借金を背負うこともあり得ます。失敗を避けるために、主観的なイメージによる意思決定は避け、いかに合理的かつ効率的に収益を上げるかという観点で常に判断をしていく必要があることを忘れないようにしましょう。
マンションという現物資産である以上、投資という側面のみならず経営という側面も併せ持っています。
新築で見栄えが良い、一等地にある物件のため所有欲が満たされるといった自己満足的な感情ではなく、利用価値のある物件を安値で購入すること、物件価値を維持したまま高稼働率で運営して高値で売却することという投資および経営の両軸で全ての意思決定をしなければなりません。
収益を最大化できるのであれば、一等地の新築RCマンションではなく地方や郊外の築古の木造一棟アパートへの投資を選ぶべき局面も多くあります。
主観を排除して客観的に合理的かという判断基準を持てるようになれば、不動産投資家としても賃貸経営者としても成功を収めることができ、経済的にも時間的にも豊かな人生を手に入れることが十分に可能といえます。
なお、上述のロジックやリスクおよびリスク対策等はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や投資手法は物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。