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コラム#156 能登半島地震と来る首都直下型地震が指し示す、災害リスクと不動産投資の未来

筆者

高桑 良充

KAIROS MARKETING LTD. CEO

まだ新年を迎えたばかりの2024年元日を襲った、最大震度7を記録した能登半島地震。
その甚大な被害の状況が明らかになるにつれ、あらためて日本という国が地震発生率世界4位の「地震大国」であることをまざまざと痛感させられます。

地震とは、地球全体を覆うプレート同士がぶつかり合ったり、重なりあったプレートがずれることによって発生するものですが、日本は4つものプレートがぶつかり合う位置に存在しているため、世界を見渡してもとりわけ発生件数が多い国、とされています。

1995年に発生した阪神・淡路大震災では、地震による被害に加え、朝食の準備に取り掛かる時間帯でもあったことから、火災による被害も広がりました。
2011年の東日本大震災においては、地震はもちろんのこと、大きな津波、そして福島第一原発におけるチェルノブイリ原発以来もっとも深刻とされる原子力事故も引き起こされる事態に。
その住宅の損壊や損失は、阪神・淡路大震災では52万棟、東日本大震災に至っては、全壊から一部破損までふくめておよそ110万戸超にも及びました。

また、近年では気候の変化に伴う豪雨の被害も相次いでいます。
2020年に熊本県を中心に発生した令和2年7月豪雨では、県内を流れる球磨川の氾濫により、床下・床上浸水が発生。
住宅の全半壊は6,000棟、浸水被害は1.4万棟にも達したと報告されています。

このように、他国と比べて極めて自然災害の多い日本である以上、居住用に限らず不動産投資における収益物件においても、災害リスクは数多く存在します。
一方で、それらをしっかりと考慮し、適切な対策を講じることにより、そのリスクを最小限に抑えることもまた可能なのです。

災害リスクを乗り越える、不動産投資4つのアプローチーー耐震性、地盤、保険、投資エリア分散

では、実際のところどんなことに留意し、対応を図るべきなのでしょうか?
4つの観点が挙げられます。

1. 新耐震基準を満たしているかの確認

災害リスクを最小限に抑えるには、まず第一に「新耐震基準」を満たした物件を選ぶことが重要になります。

建築基準法により定められた、地震に対して建物が安全であるかどうかの基準である「耐震基準」は、1981年6月に改正。
それ以降に建築確認申請が確認済みとなった建物は、震度5ではほぼ損壊せず、震度6強〜7程度でも崩壊・倒壊しないレベルの耐震性を求められる「新耐震基準」を満たしています。

「新耐震基準」を満たしていない場合は、耐震補強工事を行うことにより、災害リスクを抑えることはできますが、高額な費用が発生するため、そのコストを回収できるかどうかも慎重に検討する必要があります。

2.地盤から自然災害による被害範囲を予測

洪水や高波、津波、土砂災害など、自然災害による被害範囲を予測して地図化した「ハザードマップ」を参照することで、物件の存在する地域の地盤の特徴とどのような自然災害リスクがあるのかを理解し、エリアを選定する必要があります。

例えば、川近くの低地は川が運んできた土砂が堆積して作られているため、高台と比較すると地盤が柔らかいことから、洪水リスクに加え、地震の時には揺れが増幅しやすく液状化のリスクがあります。
物件周辺に川や山がなかった場合も、側溝や排水路の排水機能が河川の増水や大量の雨水に耐えきれずに土地や建物が浸水していく「内水氾濫」や、災害の際に通行止めになる道路が近くを通っていることも考えられます。

3. 火災・地震・施設賠償責任保険の加入

災害が起こる時期自体は予測ができないため、突如生じた損害をすぐさま自己資金から賄うことは困難を極めます。
したがって、カバー範囲の異なる3つの保険を組み合わせ、実際に災害が起こってしまった状況におけるリスクを最小限にとどめます。

「火災保険」は、火災、落雷、風災、雹(ひょう)災、雪災などの自然災害および破裂・爆発による損害を補償。
地震が原因となる火災は補償の対象外となるため、地震の揺れによるガス管の破損、暖房器具による発火、電気復旧に起因する地震火災を補償する「地震保険」と組み合わせます。
加えて、入居者が建物の瑕疵により死傷したケースで、オーナーが負う賠償責任を補償してくれる「施設賠償責任保険」も有効です。

4. 周辺環境の正しい評価と投資エリア分散

向こう30年以内に70%以上の確率でマグニチュード7以上の首都直下型地震が起こると予測されている首都圏において、同じ関東であってもエリアごとの環境によって、被害の想定は異なってきます。
津波の被害が想定される地域とされない地域もあれば、木造の建物が比較的密集している地域では、地震発生時に発生するであろう火災の被害も大きくなります。

とはいえ、自然災害のリスクヘッジに注力するあまり、不人気エリアで空室リスクが発生してしまうのでは元も子もありません。
関東で複数の物件を所有するにしても、投資エリアを分散させることにより、資産運用全体でリスクヘッジすることで、より災害リスクに左右されにくいプランを設計すべきです。

来る首都直下型地震を想定するからこそ見えてくる、不動産投資による資産形成のアプローチ

かかる能登半島地震による被害の数々は、来る首都直下型地震への警鐘を今一度強く鳴らす契機となったのは間違いありません。

しかしながら、誰にも予測できない不確定要素の前にただ立ち尽くすのみとあっては、これまた誰にも予測できないこれからの未来において守るべき、育てるべき資産をむしろ毀損してしまう可能性すらあるでしょう。

物件の耐震性、地盤から読み解く自然災害予測、保険による補償の担保、周辺環境の評価と投資エリア分散は、必ずやあなたのこれからの不動産投資における資産形成を盤石なものとする、礎となってくれるはずです。

カイロスマーケティングでは不動産投資のご相談を受け付けております。
投資に対してお持ちの不安や疑問を、私たちと一緒に解決していきましょう。

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