不動産投資には金利や空室など様々なリスクがあり、運用を始めるにあたり鑑みる必要があります。
その中でも、選定する上で見逃しがちなのが気候変動リスク。
実は、2020年8月より不動産の取引時には対象物件のハザードマップを確認、説明することを国土交通省から義務付けられたのをご存知でしょうか。
自然災害の多い国 〜日本〜
日本は世界中を見ても自然災害の多い国ですが、とりわけ台風や豪雨による浸水や洪水、土砂崩れによる被害は増加しています。
特に近年、毎年のように起こる豪雨被害は地球温暖化が起因しているため、避けられません。
例えば、地球の平均気温が上昇すると、海や地面から蒸発する水分が増加します。
具体的には、気温が1度上がると水蒸気の量が約7%増えるといわれています。
気候変動による豪雨の増加により、安全度は低下する一方で氾濫危険水位(河川が氾濫する恐れのある水位)を超過した河川の数は、増加傾向となっています。
首都圏での台風被害
首都圏では2019年に起きた、日本列島を直撃した大型台風19号が記憶に新しいのではないでしょうか。
ベットタウンであり人口の多い地域のため、多摩川の氾濫による民家の被害は甚大なものでした。
全壊38件、半壊941件、一部損壊167件、床上浸水1198件、床下浸水379件にも及びました。
特にニュースでも連日報道されていたのが川崎市武蔵小杉にあるタワーマンション。
河川の氾濫前にも関わらず、多摩川へ送る配水管のパンクにより浸水した電気系統が原因で全棟停電してしまいました。
住居者は水道、電気、エレベーターが使用できず復旧までに約一ヶ月を要したようです。
水害リスクへの対策が重要
実際、所有する物件に大型台風や集中豪雨による災害が生じると、家賃収入が入らなくなるだけでなく、入居者が居住できるように建物を修繕しなければなりません。
建物が損壊もしくは破損し、入居者が居住できないような状態になるおそれもあります。
また、水害が発生しなくとも、河川近くは入居者が集まりにくい可能性があり、結果的に空室リスクが上がるかもしれません。
そのため、不動産投資用の物件を選ぶ際はキャッシュフローと同じくらい水害へのリスクヘッジが大切です。
オーナーとして補填範囲が十分である火災保険に入ること、ハザードマップを事前にチェックするのはもちろん、過去に浸水被害がなかった地域か?マンションの電気系統設備はどこにあるか?など、被害を最小限に抑えられる物件であるか、購入前は入念に確認しましょう。