2022年3月に入り、アメリカの連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利見通しを引き上げ、5月には米連邦準備制度理事会(FRB)が22年ぶりとなる0.5%の利上げを決定。
ドルが他国通貨に対して強くなる「ドル一強」時代に突入したのに対し、日銀は引き続き金融緩和政策を維持、追加緩和も辞さない姿勢を見せています。
それをもって市場は日銀が「円安を容認」と認識、2012年11月ごろから始まったアベノミクスによる円安局面は、当時の75円半ばほどから幾星霜、2022年7月現在においては、130円代後半を推移する状態が続いています。
円安フェーズにおいて優良な投資先として選ばれる不動産
そもそも、他国の通貨に対して円の相対的な価値が下がっている状態を示す「円安」。
一般的には、円安が加速すると輸出企業は堅調となり、取引先となる部品メーカー、広告代理店、設備投資関連業などの取引額が上向きになります。
総じて、経済活動が活発になることから、株価も上昇。
不動産を例に取るならば、円安フェーズにおいては、優良な投資先として不動産が選ばれ、不動産価格も上がる傾向にあります。
円安・インフレと連動しない、2022年における日本株価
ところが、今回の局面においては、経済活動と直結しているはずの日本株価はほぼ上がっていません。
円安で利益が増えたとしても、輸入に頼る原材料費もかさむことにより経費も増加、純利益で見た場合にそれほどの変化はない、と市場から冷静に受け止められているようです。
不動産価格についても、投資の流入先としてではなく、不動産資材の高騰によるもの、と見るのが自然でしょう。
加えて、国際通貨基金(IMF)が発表した2022年4月版のレポートでは、2022年までデフレ基調だった日本がインフレ基調に転じると報告しています。
輸入に頼らざるを得ない食品やエネルギーの価格が上昇することにより、生活コストが高くなるため、給与が物価高に比例して上がらないと、足元が覚束なくなってゆくのは明白です。
インフレだからこそ輝きを放つ、日本の不動産投資市場
とはいえ、資産を現金で保有している場合は、インフレによって買えるものが少なくなるものの、不動産で保有していれば、同じインフレが要因となって値上がりする可能性も高くなってきます。
また、インフレが加速する前に、海外投資家の不動産投資への大量参入も考えられます。
というのも、彼らの視点に立ってみると、日本の不動産はかなり格安に映るからです。
今でも世界第3位を誇る高いGDPを維持していること、政治的に安定している民主主義国家であること、日本国籍を持たずとも不動産の所有権を認められていることから、新興国に比べれば利回りは低いものの、経済規模を考えれば、相対的に他国よりもはるかに安く購入できる日本の不動産は、今まさに参画するに適した環境が揃っているのです。
チャンスでもありつつ、難しい舵取りを迫られるーー今の不動産投資に必要な視座とは?
もちろん、今後の世界の動向次第では、日銀の方向転換も大いに考えられます。
ただ、誰にとっても先行きが不透明なこの情勢において、自分の資産を守り育てていくことは、もはや責務である、とすら言えるでしょう。
その有力な施策の一つとして挙げられるのが、不動産投資。
今、海外投資家の資金が日本の不動産市場に流れ込んでくることで、市場全体が活性化を迎えようとしているチャンスでもある一方、生活コストの上昇から、賃料の値上げのタイミングやバランスなど、資産維持にあたっての難しい舵取りを迫られることもあるでしょう。
だからこそ、安心して入居稼働が見込めるような「賃貸物件におけるニーズのトレンド」を分析し、適正な家賃設定をおこない、事業として綿密な計画を策定、マネジメントする視座、つまりプロフェッショナルなコンサルティング力が大きな力を発揮するのです。