外壁や屋上の劣化状態
対象物件の外観を確認する際は、物件の外壁にクラックが入っていないか確認しましょう。部屋の状態が良くても、外見の印象で入居者が避けてしまう可能性もあります。
また、修繕の形跡や汚れの目立ち具合も要チェックです。外壁を触って白っぽい粉が付着した場合、塗装表面が劣化しているのかもしれません。
これをチョーキング現象と呼びます。チョーキング現象のある建物は外壁塗装が必要になるので避けましょう。バルコニーの裏側や廊下の淵、屋上防水など、普段は見えにくい場所も確認してください。雨掛かり部分にコンクリートの爆裂があったり防水シートが劣化していたりすると、近い将来工事が必要です。
共用部分の管理状況
共有部分の管理状況は、入居者が物件を決定する際の重要な項目となります。廊下や階段、エレベーターなど共用部分の汚れ具合はすみずみまで確かめましょう。
敷地内や共有部分の清掃がきちんと行われている物件は、入居者にとって好印象です。また、ポストが荒れていないか、落書きがないかも見ておきます。
植物を置いてある物件は、植栽が枯れたまま放置されていないかなど、敷地内の植栽の状態もポイントです。
ペット禁止でも飼っている入居者が住んでいる場合があるので、ペットの臭いがついていないかも確認してください。
また、ゴミ置き場は現在の入居者のモラルや物件の管理状態がわかりやすい部分です。ゴミがきれいに仕分けされているかは忘れずチェックしましょう。
共用設備の点検状況
投資物件が一棟マンションの場合は、受水槽やタンク、消防設備、エレベーターの有無を調べます。
これらの共有設備がきちんと点検されているかどうかによって、その後にかかる費用が異なってくるためです。
法定点検が義務付けられている設備がある場合、物件価格だけでなくランニングコストを考えなければなりません。
一例を挙げると、受水槽は年間6~7万円、消防設備は年2回で8万円、エレベータは月2~4万円かかります。あくまでこの価格は目安なので、詳しい値段は業者に問い合わせましょう。
また、非常警報器があると年に2回の法定点検が必要です。
敷地周りの確認
わかる範囲で敷地の境界標の有無を目視チェックしてください。売買や遺産分割など、のちのち大きなトラブルの要素となりかねません。屋根やひさし、植栽、工作物がないか、越境のチェックも大切です。
越境チェックを怠ると、隣地トラブルに発展する可能性が高くなります。
また、水道管などの地下埋設管がどこから引き込まれているかも知っておきましょう。
必要に応じて越境物確認書や越境物に関わる同意書が必要となるので、これらの書類の有無もしっかり確認しておきます。
接道状況によっては建物が他人の土地に越境しているケースもあるので、図面と現地を照らし合わせてチェックするのが確実です。
住戸内の状態
物件の外側を見たら、次は内側を見ましょう。住戸内の状態は入居者が重要視する項目のひとつです。自分が賃借人になったと仮定して、部屋の向きや日当たり、眺望、内装、そしてトイレ、台所などの水回りの清潔感まで細かくチェックしてください。
また、エアコンや給湯器、照明、調理器具など住戸内の設備の種類、稼働状況も検分します。
場合によってはリフォームが必要になるので、稼働状況からどのくらいの費用が必要か予測しておくとベストです。
給湯器がバルコニーや廊下に出ているなら製造年月を見て、あと何年でどのくらいの台数の交換が必要になるか確かめましょう。
入居者の確認
すでに住んでいる入居者をチェックすることも大切です。どんな人が住んでいるかを確認しておけば、物件のランクがわかるほか募集時のターゲットが絞りやすくなります。
また、不審な人や車の出入りはないかもポイント。対象物件が犯罪の温床になっている可能性もあります。
一室だけゴミが散らかっている、怪しい張り紙が大量にドアに貼り付けられている、ベランダにゴミ袋が大量に詰みあがっている……。
このような部屋がひとつでもあると成約にはつながりにくくなります。現在の段階で不良入居者が見られる物件は、空室リスクが高いので要注意です。
なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。