初心者が不動産投資で失敗しないために、注意するポイントを3つ挙げます。
前提として、初心者であれば事前に勉強し知識をつけることが必須です。
そして、物件に関する複数の情報収集をした上で購入の判断をしましょう。
1.新築マンション
購入価格が高いです。これは物件そのものの価値以外に、新築プレミアムという広告費・人件費・利益といったディベロッパーの経費が上乗せされるためです。
妥当な販売価格よりも2~3割程度高く売られているのが特徴です。
新築マンションは年数経過により資産価値は徐々に下がりますが、その下落率は一定ではありません。
一番価値が大きく下がるのは、入居者が入り、新築ではなくなった直後です。
新築プレミアムがなくなったから物件の資産価値だけが相場になります。
初期投資費用が高くつき、その後の家賃収入が1~2割下がるとなると、 キャッシュフローが出にくい不動産投資であり避けたほうがよいでしょう。
2.表面利回り
表面利回りだけみていい物件だ、と食いつくのは最も危険です。
表面利回りは物件購入者が負担する諸々の雑費を加味しておらず、盛ることが出来ます。購入を適切に検討・判断するためには、運用に必要なコストを差し引いて計算した実利回りが重要です。
表面利回りですと下記のように簡単に表示されます。
家賃100万円 ÷ 物件価格1,000万円 → 利回り10%
家賃150万円 ÷ 物件価格1,000万円 → 利回り15%
では、初心者が不動産投資を始める際にかかる費用の詳細を見ていきましょう。
物件取得時に必要な費用
不動産取得税:土地や建物を買ったときにかかる税金のこと。
登記費用:不動産を登記する際に必要となる実費と司法書士報酬(司法書士手数料)の合計額。
実費とは登録免許税・登記簿謄本代・交通費が該当します。
毎年発生する費用
火災保険代:火災の場合だけではなく、水害や地震など自然災害による建物への損害に備えて加入する必要があります。
固定資産税:保有する固定資産に課される地方税です。土地やマンションなど物件だけではなく、償却資産(事業用資産)も対象となります。固定資産の評価額に標準税率となる1.4%をかけて計算します。
ローンの金利分:物件購入時、銀行など金融機関から融資を受けた場合、返済し終わるまで利息が発生します。
毎月発生する費用
大規模修繕積立金:マンションなど建物の痛み・劣化を修繕のためだけではなく、外装や内装の整備にも使われます。清潔感、高級感のある見た目は入居者を獲得するために必要な要素となります。
共用部の管理費:マンションを一棟購入する場合、庭やエントランス、エレベーターなど共有部分にかかる費用も発生します。
退去者が出た場合
リフォーム代:退去者が傷や汚れをつけてしまった過失以外の経年劣化による部分は、物件保有者がリフォームしきれいにする必要があります。
広告費:入居者を集めるために不動産仲介業者に支払う宣伝費用。特に閑散期であれば広告を出すことで入居者が決まりやすくなります。
また、空室期間の家賃収入はなくなること、年数が経つにつれて老朽化し資産価値も下がるため、家賃を下げる必要があることも想定しておきましょう。
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3.ワンルームマンション
不動産投資初心者の場合、手が出しやすい価格で始められるため、ワンルームマンションを勧められることがあります。
しかし、ワンルームマンションは一棟マンションに比べて利回りが低く、空室リスクも高いなど、失敗しやすいので特に注意が必要です。
下記ではワンルームマンションに限った話ではないですが、不動産投資を検討する初心者が誤解しやすいワードを紹介します。
節税対策
「ワンルームマンションを所有することで節税出来る」とセールスされることがありますが、落とし穴があります。節税効果が得られる人もいますが、どんな場合でも節税になるわけではないのです。
不動産投資をしていれば、確定申告をする際に建物の減価償却費を経費に計上します。
不動産所得が帳簿上で赤字になれば、所得税の還付を受けることができます。
つまり、不動産投資で利益ではなく損失を出している、赤字だから税金が減るということです。
2.で先述した通り、不動産投資には諸々の経費がかかります。
その上、ローンを支払うと大きな損失が出ることもあります。節税できた金額と、新築物件を買った投資の赤字を通算すると損をしているケースが大半です。
生命保険の代わり
次に「保険や年金の代わりになる」といわれる理由について説明します。
物件を購入すると、団体信用生命保険に加入するので、所有者が亡くなった場合はローンの返済がなくなります。遺族は物件を売却、または保持し続けて家賃収入を得続けることができるため、保険代わりになるといわれています。しかし売却した場合は売却手数料や譲渡所得税や社会保険料が、相続した場合は相続税の支払いや、2.で先述した費用が発生します。このように物件による収入があれば費用や運営する手間もかかります。不動産投資と生命保険は分けて考えたほうがベターです。
年金の代わり
「ローンの完済後は家賃収入がすべて年金代わりになる」というセールストークを言葉のまま信じるのはやめましょう。
年金代わりになるケースもありますが、人気の区分マンション投資では長期的に安定したキャッシュフローを獲得し続けるのは難しいかもしれません。
区分マンションの場合は元々の利回り水準が低く、その上年数を重ねるごとに家賃の下落と修繕積立金や管理費が増えていく物件が多いです。せっかくの家賃収入が経費に消えてしまうケースも大いにあり、年金代わりどころか、損をしてしまうリスクも発生します。
経費(修繕積立金や管理費)の増加が先読みできない事、所有者の一人のため決定権がない事が、長期的な資産を築く上で不安定な要素になります。
安定したキャッシュフローを獲得したい場合には、中古一棟物件を選択しましょう。中古物件は家賃の下落が少なく、また一棟物件は元々の利回り水準が高く、一定の部屋数があるため空室による収入ゼロリスクを軽減できます。
あなたの投資目的が長期的な資産形成でしたら、一棟アパートや一棟マンションを視野にいれることをおすすめします。